近年では男性の不妊症が広く知られるようになり、治療をおこなう方も徐々に増えてきています。
そもそも男性の不妊症とはどのような症状のことをいうのか、考えられる原因とあわせて確認してみましょう。

男性の不妊症とは

男性の不妊症とは、男性側に不妊の原因があることを指します。
WHOの調査では、不妊症のカップルのうち、女性のみが原因のケースは41%、男性のみが原因のケースは24%、 男女両方のケースは24%だったと報告されています。 すなわち、不妊の約半数は男性にも原因があると考えられるのです。

男性不妊症の種類・症状・原因

造精機能障害

造精機能障害とは、精巣の機能が低下することで精子をたくさん作れない症状のこと。男性不妊の原因の約9割が、造精機能障害にあるといわれています。

造精機能障害にはいくつかの種類があり、原因や適切な治療法もそれぞれ異なります。精液検査によって、採取した精液内の精子の量や運動率などから診断されるのが一般的です。 近年では、自宅で手軽に精液検査ができる簡易キットも登場しています。

【造精機能障害の種類と症状】
・精索静脈瘤
精巣の一部に瘤(こぶ)のようなものができる症状です。男性不妊の約4割を占めていて、改善のためには手術による治療が必要になります。 原因がはっきりしているため比較的治療がおこないやすく、術後は約7割が改善されます。

・乏精子症
精子の数が少ない状態です。原因は人それぞれで、生活習慣の見直しで改善できるケースもあります。タイミング法で妊娠しにくい場合は、人工授精や顕微授精などの不妊治療がおこなわれます。

・精子無力症
精子の数はあるものの、運動性が乏しいケースです。卵管に精子が到達しにくいため、人工授精や顕微授精などの不妊治療がおこなわれます。

・無精子症
精液中に精子がまったくいない状態です。精管が詰まって精子が出てこない場合は手術で採取をし、顕微授精をおこないます。 精巣内で精子が作られていない場合は原因を調べ、症状に応じて治療がおこなわれます。

性機能障害

性機能障害は、性行為ができないケースです。勃起障害(ED)もその1つで、造精機能障害以外の不妊では大きな割合を占めています。 タイミング法によるプレッシャーでEDになるケースも少なくありません。

男性不妊を招きやすい後天的な原因

生活習慣病は、精巣機能を低下させて不妊の原因になります。
以下のような生活習慣は、夫婦で協力してできる限り改善しましょう。

・ 喫煙
・ アルコールの過剰摂取
・ ストレス
・ 睡眠不足
・ バランスの悪い食生活
・ 肥満
・ 長風呂
・ サウナ
・ 自転車やバイクの長時間運転
・ 窮屈な下着やズボン

男性不妊に大きく関わるのは、精巣温度の上昇です。精巣が温まると機能が低下しますから、長風呂やサウナは控えましょう。自転車やバイクの運転も、精巣が圧迫されて温度が上がるため注意が必要です。

また、肥満も不妊の一因になることがあります。
運動不足なら、ウォーキングなどの定期的な運動を心がけましょう。

不妊

男性不妊についても理解を深めましょう

今回ご紹介したように、不妊の原因は男性側にあるケースもあります。
赤ちゃんが欲しいと思ったら女性だけでなく男性も検査をおこない、妊活に役立てていきたいですね。

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