妊娠すると、多くの方が味覚の変化を感じるといわれています。では、具体的にどのような変化が現れるのでしょうか? 今回は妊娠中に起きる味覚変化の原因や症状を、食事に関する注意ポイントとあわせてご紹介します。
妊娠中に起きやすい味覚の変化とは
原因はホルモンバランスの変化
妊娠すると女性ホルモンの1つであるプロゲステロンの分泌が増え、味覚に変化をもたらします。また、口の中が乾きやすいこと、亜鉛不足になりがちなこと、血液量が増えて塩分の必要が増えることなども、味覚変化の原因になります。
酸っぱいもの・甘いもの・味の濃いものが食べたくなる人が多い
妊娠による味覚の変化は、妊娠初期から中期に強く現れます。変わり方は人によって異なりますが、一般的には酸っぱいもの・甘いもの・味の濃いものを食べたくなる人が多いといわれています。
まれに無味覚になる人も
妊娠中、味覚に変化を感じる方の中には、無味覚に悩まされる方もいらっしゃいます。酸味、甘味、塩味、苦味が分からなくなり、味がはっきりしなくなるのです。味覚障害は妊娠中に起きやすい症状ですが、あまりに味が分からない場合は他の原因が隠れていることもあるので、かかりつけの医師に相談しましょう。
味覚が変化したときに気をつけたい妊娠中の食事ポイント
栄養バランスを考えて食べる
妊娠中は赤ちゃんの成長のためにたくさんの栄養が必要ですから、味覚の変化にあわせて食べられるもの、好みのものを口にしましょう。ただし、栄養バランスには気をつけたいもの。果物や甘いものだけではタンパク質が補えませんから、肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などもしっかり食べることが大切です。また、赤ちゃんの発育に欠かせない葉酸や、味覚の維持に関わる亜鉛などを補給できるサプリメントを併用するのもいいでしょう。
塩分の過剰摂取に注意
妊娠すると味の濃いものを好む傾向にありますが、塩分摂取量には注意したいもの。塩分を摂りすぎるとむくみやすくなり、妊娠高血圧症候群のリスクも高まってしまいます。成人女性の塩分摂取目安量は1日あたり6.5g未満で、妊娠中も変わらない塩分量が推奨されています。
たとえばラーメンは、スープを含めると1杯で5gにもなるので注意が必要です。麺類のスープ、インスタント食品、外食などは塩分量が多めですから、なるべく控えましょう。
長く続く場合は医師に相談を
妊娠による味覚の変化は、妊娠中期~出産後に戻るといわれています。ただし、あまりに長く続く場合は食生活に支障をきたす恐れがあるので医師に相談しましょう。

妊娠中は味覚の変化に応じて「美味しい」と思える食事を
妊娠中の味覚の変化は頻繁に起きるものですから、心配しすぎる必要はありません。栄養バランスや塩分量には気をつける必要がありますが、自分が美味しいと思えるものを食べて、食生活でのストレスを少しでも減らしてくださいね。