「妊娠性痒疹(にんしんせいようしん)」は、妊娠中に起こりうる皮膚トラブルの1つです。中には、激しいかゆみによって眠れなくなる妊婦さんもいらっしゃいます。妊娠性痒疹とはどのような症状なのか、原因や対処法とあわせて見ていきましょう。

かゆみをともなう「妊娠性痒疹」とは

妊娠性痒疹とは、妊娠初期から後期に見られる皮膚トラブルのこと。かゆみをともなう湿疹が現れるのが特徴で、湿疹がない場合は妊娠性掻痒(にんしんせいそうよう)と呼ばれます。症状が見られるのは、妊婦さんの3~5%ほど。出産とともに症状は治まりますが、次の妊娠時に再発することがあります。

症状が出やすいのは腹部や手足など、比較的皮脂量の少ない部位です。もともと乾燥肌、敏感肌、アトピー性皮膚炎の傾向がある方がかかりやすいといわれています。第2子以降の妊娠時に多いとされていますが、初産でも見られることがあり一概にはいえません。

妊娠性痒疹の原因

妊娠性痒疹の原因ははっきりとは明らかになっていませんが、妊娠によるホルモンバランスの変化が関係していると考えられています。ホルモン分泌の変化によって肌のコンディションも大きく変わり、かゆみや湿疹などのトラブルが起きやすくなるのです。

妊娠性痒疹の予防・対処法

かゆいときは一時的に冷やす

皮膚をかきむしると余計かゆくなるうえに炎症が起き、色素沈着まで生じる可能性があります。かゆみが生じたときは冷えた濡れタオルや保冷剤などを当てて、症状が鎮まるのを待ちましょう。長時間冷やすと体まで冷えたり、かえって刺激になったりするので、一時的に冷やすことがポイントです。

こまめに保湿をする

皮膚が乾燥すると症状が悪化しやすいといわれています。お風呂上がりや肌の乾燥を感じたときなど、できるだけかゆみが現れる前に保湿をして悪化を防ぎましょう。全身に使えるタイプの妊娠線対策クリームなら、乾燥と妊娠線の両方を防げて効果的です。

症状が重いときは医師に相談を

症状がひどくなると皮膚をかきむしって色素沈着が起きたり、かゆみで眠りが浅くなったりと、さまざまな弊害が起きてしまいます。冷やす、保湿をするといった対処で治まらない場合は、皮膚科やかかりつけの医師に相談しましょう。治療にはステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬などが使われます。

肌にかゆみが現れる「妊娠性痒疹」とは?原因と対処法をチェック

妊娠性痒疹は悪化させないことが大切

妊娠性痒疹は原因がはっきりしていないため、予防が難しい皮膚トラブルです。しかし、正しく対処や治療をすれば、症状の悪化は防げるもの。かゆみによる睡眠の質の低下は赤ちゃんの成長にも悪影響を及ぼしますから、素早い行動を心がけたいですね。

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