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2017.03.15

妊活中は夫も一緒に禁煙を。たばこで精子が減少するって本当?

妊活を始めるときに、まず「禁煙」から始める女性も多いです。特に女性の場合は赤ちゃんを育む“母体”となりますので、喫煙のリスクをイメージしやすく、禁煙の必要性を誰よりも感じているはず。 しかし、妊活の成功には「夫の禁煙」も大切です。 今回はなぜ夫も禁煙をすべきか、その理由についてご説明いたします。

夫の禁煙が精子の劣化を防ぐ

アメリカのセントジョセフ大学では、精子にまつわる過去の20もの論文を分析。不妊治療を受診した6000人近くの男性の精子を喫煙者とそうでない場合とで比較した研究結果を発表しています。 調査結果によって、以下のようなことがわかりました。

・ 喫煙によって精子の数が減少する

喫煙者の場合、非喫煙者と比べて精子の数が大きく減少することがわかっています。 通常の精液では1ミリリットル辺り、5000~1億ほどの精子が存在しますが、喫煙者では1万個近くの精子の減少が見られたそうです。

・喫煙者は精子の運動能力が低下する

妊娠を目指すうえで精子の「運動能力(運動率)」も重要ですが、喫煙によってこの指数にも悪影響があるようです。喫煙者の精子は一般的な精子よりも4%近くも運動能力の低下がみられます。
精子の運動能力の平均は、20代から30代前半の男性で50%ほど。この数値が32%を下回ると自然妊娠が困難になります。精子の運動能力は加齢によって低下することもあるので、夫が高齢になるほど禁煙の重要性が高いと言えるでしょう。

・喫煙で精子の形態率も低下する

精子の「正常形態率」という項目も、妊娠のしやすさを表す目安の1つです。 この数値が4%を下回ると自然妊娠が難しくなるのですが、喫煙者の精子は平均的に1.3%ほど正常形態率が低下していました。あまり大きな減少ではないように感じますが、WHOでは15%が基準値とされているため、たとえ1.3%の低下でも油断はできません。

・夫の禁煙を勧める理由は精子以外にもある

妊活において、精子の劣化を防ぐことは急務です。これだけでも夫婦での禁煙の重要性を感じることができたのではないでしょうか。 しかし、喫煙のリスクは精子の質の低下だけに留まりません。

・勃起障害で性行為自体が困難に

たばこにニコチンが含まれていることはご存知かと思いますが、このニコチンは血管を収縮する作用をもっています。つまり、喫煙は血行不良の原因です。 勃起は海綿体に血液が流れこんで起こるのですが、喫煙によって血流が阻害されてしまい、思うように勃起できなくなるかもしれません。 性行為は妊娠において欠かせませんので、妊活を考えるうえで大きなデメリットだと言えるでしょう。

・受動喫煙のリスク

喫煙リスクは当事者だけではなく、近くにいる方にも「副流煙」という形で襲いかかります。受動喫煙は卵子の質を低下させる恐れがあるので注意が必要です。 受動喫煙も先に挙げたように血管の収縮を引き起こします。そのため、たとえ妊娠が成功したとしても胎児に栄養が行きわたらずに発育不良や低体重を引き起こしかねません。

禁煙要請で夫との関係を悪化させないためには

妊活は1人ではなく夫婦2人でおこなっていくものですので、夫への禁煙要請が必要になるかもしれません。 しかし、禁煙をお願いする際に言葉を選ばないと、夫婦の関係性が悪化する恐れがあります。無理に禁煙を促したりすると反発も起きやすくなりますので、慎重に事を運んでください。 妊活や不妊治療にかかる費用からコストパフォーマンスを意識してもらうのも効果的です。無理に相手を変えようとするのではなく、“相手を納得させたうえでの禁煙”を目指していきましょう。